アスベスト調査
石綿(アスベスト)調査とは

事前調査とは、建築物等の解体等工事を行う前に、当該建築物等に石綿含有建材が使用されている か否かを調査することをいう。事前調査における石綿含有建材の見落としは、解体等を行う際の石綿繊維 の飛散に繋がるため、石綿飛散防止対策において事前調査は極めて重要である。 事前調査の結果については、記録の作成や解体等工事現場への備え付け、発注者への説明、都道府 県及び労働基準監督署への報告が必要になる。
石綿事前調査結果の報告Gビズについて
Gビズ=石綿事前調査結果報告システムとは、労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則、及び大気汚染防止法に基づく石綿含有の有無の事前調査結果の報告手続(申請)をオンラインで行えるシステムです。報告にはGビズIDを作成取得し、有資格者(石綿含有建材調査者資格)にて報告する必要があります。(令和5年10月1日より) ● 建築物や工作物の解体・改修工事を行う際には、法令に基づき、石綿含有の有無の事前調査を実施する必要があります。 ● 一定以上の建築物・工作物の場合、労働基準監督署、および自治体に事前調査結果の報告を行う義務が事業者(元方/元請事業者)に課せられます。報告対象となる工事は以下のとおりです。以下当該調査結果は都道府県または大防法政令市へ報告する必要があります。
【報告対象となる工事】
※石綿の有無によらず以下のいずれかに該当する場合には報告が必要です。
- ① 解体部分の 床面積の合計が80㎡以上の建築物 の解体工事
- ② 請負金額が 税込100万円以上の建築物 の改修工事
- ③ 請負金額が 税込100万円以上の特定の工作物 の解体または改修工事
- ④ 総トン数が 20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事
※石綿含有建材の種別詳細は以下を参照願います
石綿含有建材データベース(https://www.asbestos-jp/)
目で見るアスベスト建材第二版(http://www.mlit.go.jp/kisha08/01/010425_3/01.pdf)
石綿(アスベスト)とは

石綿(アスベスト)は、天然に産する繊維状けい酸塩鉱物で「せきめん」「いしわた」と呼ばれています。 その繊維が極めて細いため、研磨機、切断機などの施設での使用や飛散しやすい吹付け石綿などの除去等において所要の措置を行わないと石綿が飛散して人が 吸入してしまうおそれがあります。以前はビル等の建築工事において、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、昭和50年に原則禁止さ れました。 その後も、スレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材などで使用されましたが、現在では、原則として製造等が禁止されています。 石綿は、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで予防や飛散防止等が図られています。
石綿の健康影響

石綿にばく露して引起される疾患としては、じん肺(石綿肺)、肺がん、悪性中皮腫、良性石綿胸水(胸膜 炎)、びまん性胸膜肥厚等がある。その他、致命的な疾患ではないが、石綿ばく露の重要な指標として胸膜プラ ーク(胸膜肥厚斑)がある。

石綿(アスベスト)の種類と形状
天然に産出する繊維状けい酸塩鉱物の一部の俗称で、国際労働機関(ILO)が1986年に採択した石綿条約においては、石綿を「蛇紋石族造岩鉱物に属する繊維状けい酸塩鉱物であるクリソタイル及び角閃(せん)石族造岩鉱物に属する繊維状けい酸塩鉱物であるアクチノライト、アモサイト、アンソフィライト、クロシドライト、トレモライト、あるいはこれらを一つ以上含む混合物をいう」と定義しています。また、これら6種類のものを石綿(アスベスト)として世界的に規制の対象としています。

石綿の生産・輸入状況
わが国では鉱物標本的な量の各種石綿が全国各地にあり、ごく小規模な採掘も戦前は行われていた。戦後は、 採掘に伴って排出されたボタ山廃材の再利用により、年間約 0.5 万 t 程度が生産されていたが、現在はその生産 も中止されている。 輸入量は、戦後漸増し、昭和 36(1961)年には 10 万 t となり、昭和 49(1974)年が最大の 35 万 t で、それ以後平成元年頃までは 20~30 万 t で推移したが、その後暫時減少し、平成 16(2004)年 10 月の労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号。以下「安衛法」という。)による石綿含有建材、石綿含有摩擦材、石綿含有接着剤の輸入、製造、使用の禁止に伴い、平成 17(2005)年には約 110t と大幅に減少し、更に平成 18(2006)年 9 月 からの石綿含有製品の輸入、製造、使用が禁止されたことに伴い、平成 18(2006)年 11 月段階では石綿原綿の輸入はない。
石綿関係法規の変遷
年号 | 法規、通達名 | 法規・通達の概要 |
昭和 35(1960)年 | 「じん肺法」制定 | じん肺健診についての規定(石綿も対象) |
昭和 46(1971)年 | 「労働基準法特定化学物質等障害予防規則」(特化則)制定 | 製造工場が対象、局所排気装置の設置、作業環境測定の義務付け(測定方法の規定なし) |
昭和 47(1972)年 | 「労働安全衛生法(安衛法)」制定、「特化則」再制定 | 安衛法が新たに制定され、特化則は同法に基づく規定に |
昭和 50(1975)年 | 「労働安全衛生法施行令」(安衛法施行令)の改正 | 名称等表示(石綿5%超対象) |
「特化則」の大改正(昭和4 5 年 ILO職業がん条約批推のため) | 石綿5%超対象、取扱い作業も対象、石綿等の吹付け作業の原則禁止、特定化学物質等作業主任者の選任、作業の記録、特殊健診の実施、掲示等 | |
昭和 63(1988)年 | 「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)制定 | 法規に規定されている各種物質の管理濃度を規定 (石綿も対象:2f/cm3) |
平成 元(1989)年 | 「大気汚染防止法(大防法)・同施行令・同施行規則」の改正 | 石綿を特定粉じんとし、特定粉じん発生施設の届出、石綿製品製造/加工工場の敷地境界基準を10f/Lと規定 |
平成 3(1991)年 | 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の改正 | 特別管理産業廃棄物として「廃石綿等」を新たに制定。吹付け石綿、石綿含有保温材等の石綿を含有する廃棄物が該当 |
平成 7(1995)年 | 「安衛法施行令」の改正 | アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の製造等禁止 |
「労働安全衛生規則」(安衛則)の改正 | 吹付け石綿除去作業の事前届出 | |
「特化則」の改正 | 石綿1%超まで対象が拡大、吹付け石綿除去場所の隔離、呼吸用保護具及び保護衣の使用、解体工事における石綿使用状況の事前調査結果の記録 | |
平成 8(1996)年 | 「大防法」の改正 | 特定建築材料(吹付け石綿)を使用する一定要件をみたす建築物の解体・改造・補修する作業が「特定粉じん排出等作業」となり、事前届出、作業基準の遵守義務を規定 |
平成 9(1997)年 | 「大防法施行令・同施行規則」の改正 | |
平成 11(1999)年 | 「特定化学物質の環境への排出量把握等及び管理の改善の促進に関する法律」制定 | 特定第一種指定化学物質として石綿が規定され、年間500kg以上使用する場合に、環境への移動・排出量を国への報告義務付け |
平成 16(2004)年 | 「安衛法施行令」の改正 | 石綿含有建材、摩擦材、接着剤等10品目が製造等禁止 |
「作業環境評価基準」(厚生労働省告示)の改正 | 石綿の管理濃度を改正(施行期日2005.4.1) | |
平成 17(2005)年 | 「石綿障害予防規則」(石綿則)の制定 (施行期日:2005.7.1) |
特定化学物質等障害予防規則から、石綿関連を分離し、単独の規則である石綿障害予防規則を制定。解体・改修での規制(届出、特別教育、石綿作業主任者等)を追加 |
「大防法施行令・同施行規則」の改正 (施行期日:2006.3.1) |
吹付け石綿の規模要件等の撤廃と特定建築材料に石綿含有保温材、耐火被覆材、断熱材が追加。掻き落し、破砕等を行わない場合の作業基準を規定 | |
平成 18(2006)年 | 「大防法」の改正(施行期日:2006.10.1) | 法対象の建築物に加え工作物も規制対象となる |
「安衛法施行令」の改正(施行期日:2006.9.1) | 石綿0.1重量%超の製品の全面禁止(一部猶予措置あり) | |
「石綿則」の改正(施行期日:2006.9.1) | 規制対象を石綿0.1重量%超に拡大一定条件下での封じ込め、囲い込み作業に対する規制の強化等 | |
「廃棄物処理法」の改正(施行期日:2006.10.1) | 石綿0.1重量%超を含有する廃棄物(廃石綿等を除く)を石綿含有廃棄物と定義、無害化処理認定制度が発足(施行期日2006.8.9) | |
平成 20(2008)年 | 「石綿則」等の一部を改正する省令等(施行期日:2009.4.1) | ・事前調査の結果の掲示 ・隔離の措置を講ずべき作業範囲の拡大、隔離の措置等 ・吹付け石綿除去作業について電動ファン付き呼吸用保護具着用を義務づけ ・船舶の解体等の作業に係る措置(施行期日2009.7.1) |
平成 23(2011)年 | 「石綿則」の一部を改正する省令 (施行期日: 2011.8.1) |
船舶の解体等について、建築物解体等と同等の措置を義務付け |
平成 24(2012)年 | 「安衛法施行令等」の一部を改正する政令 (施行期日:2012.3.1) |
石綿0.1重量%超の製品の製造等禁止の猶予措置を撤廃 |
平成 25(2013)年 | 「大防法」の改正(施行期日:2014.6.1) | 届出義務者を発注者に変更、解体等工事の事前調査及び説明の義務化、作業基準の改正 |
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規 定」(国土交通省告示) |
建築物の通常使用における石綿含有建材の使用実態の把握推進のため、同規定を創設 | |
平成 26(2014)年 | 「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2014.6.1) | 集じん・排気装置の排気口からの石綿漏えいの有無の点検、作業場前室の負圧状態の確認、損傷・劣化等石綿粉じん発散のおそれがある保温材等の除去等の対応の追加 |
平成 29(2017)年 | 「石綿含有仕上塗材の除去等作業における飛散防止対策について通知」(環境省) | 石綿含有仕上塗材の除去作業における飛散防止対策について、吹付け工法で施工されたものについては吹付け石綿として扱うこととした |
平成 30(2018)年 | 「安衛法施行令」、「安衛則」の改正(施行期日:2018.6.1) | 分析、教育用の石綿の製造・輸入・使用等を可能とした |
「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:2018.6.1) | 石綿分析用試料等の定義、製造に係る措置、製造許可、届出等を規定 | |
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」 (厚労省・国交省・環境省告示) |
3省連携により、国交省の旧規定の内容に解体時の事前調査に必要な知識を追加 | |
令和 2(2020)年 | 「大防法」の改正(施行期日:一部除き2021.4.1) | すべての建材への規制拡大及び作業基準の適用、事前調査方法の法定化・資格者による事前調査の実施、事前調査結果の記録の保存及び都道府県への報告の義務付け、取り残し等の確認及び記録の保存の義務化、直接罰の創設等 |
「石綿則」の一部を改正する省令(施行期日:一部除き2021.4.1) | 事前調査及び分析調査を行う者の要件の新設、計画届の対象拡大、事前調査結果の届出制度の新設、隔離(負圧不要)を要する作業に係る措置の新設、その他作業に係る措置の強化、作業計画に基づく記録・保存の義務化、石綿の有無が不明な建材に対して石綿が使用されているものとみなして工事を行うことにより分析調査を不要とする規定を吹付け材にも適用 等 | |
「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」の一部改正 (厚労省・国交省・環境省告示) |
一戸建て等石綿含有建材調査者の講習規程を新設 |
注 1)建築基準法:一定規模以上の増改築において、吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールが施工されている部分は除去することが、
また一定規模※未満の増改築、大規模な模様替え、大規模な修繕の場合は、除去又は封じ込め、囲い込みを行うことが義務付けられた。
(施行期日 2006.10.1)
※一定規模:増改築部分の床面積が増改築前の床面積の 1/2
注 2)宅地建物取引法:建物の売買等の取引に際して、石綿が使用されているか調査した経緯があればその結果を建物の持ち主又は宅地建物
取引業者は、買主等に対して、石綿の使用を重要事項として通知することが義務付けられた。
アスベストのレベル別危険度
レベル1 | レベル2 | レベル3 | |
建材の種類 | 石綿含有吹き抜け材 | 石綿含有保温材 石綿含有耐火被覆材 石綿含有断熱材 |
石綿含有形成板等 (レベル1,2以外の石綿含有建材) |
発じん性 | 著しく高い | 高い | 比較的低い |
必要な対策 | 著しく発じん量が多い作業で、作業場所の隔離や高濃度の紛じん量に対応した防じんマスク、保護衣を適切に使用するなど、厳重なばく露防止対策が必要なレベル | 比重が小さく、発じんしやすい製品の除去作業であり、レベル1に準じて高いばく露防止対策が必要なレベル | 発じん性が比較的低い作業で、破砕、切断等の作業においては発じんを伴うため、湿式作業を原則とし、発じんレベルに応じた防じんマスクを必要とするレベル |
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